【世界遺産の石垣段々畑】甘みが凝縮された蔵出しみかんを作る秘密を紹介!

山を切り開き、石を積んで数百年。
和歌山県下津町。
そこには、まるで天空へと続く階段のように、山の斜面を埋め尽くす段々畑が広がっています。
これは、平地が少ないこの土地でみかん栽培を始めるために、私たちの先人が数百年もの歳月をかけて築き上げてきたもの。機械もない時代に、急峻な山を切り開き、出てきた石を人の手で一つひとつ積み上げる。
その気の遠くなるような作業の末に生まれたのが、この石垣の段々畑です。


単なる農地ではなく、人と自然が共存するための知恵と労苦が刻まれたこの場所は、日本農業遺産、そして世界農業遺産にも認定されました。
蔵出しみかんの物語は、この偉大な遺産から始まります。
石垣が作る、蔵出しみかんの味わい。
美味しいみかんを育てるには、「太陽の光」「水はけ」「土壌」が重要とされます。
下津町の石垣は、このすべてを理想的な状態に保つ、天然の舞台装置です。空からの太陽の光はもちろん、石垣が太陽の熱を蓄え、夜間に放熱することで畑の地温は安定します。


さらに、石垣に反射した光がみかんの裏側まで照らすことで、色づきも味もムラなく仕上がるのです。また、石垣の隙間が抜群の水はけを確保し、みかんにとって余分な水分が溜まるのを防ぎます。
これにより、甘みが凝縮された果実が育つのです。
こうして石垣畑で最高の状態に育ったみかんを、さらに土壁の蔵でじっくりと熟成させる。酸味のカドがとれ、まろやかさと深いコクが生まれたものだけが、本物の蔵出しみかんとして皆様の元へ届けられます。
全国でも珍しい“石垣のみかん畑”。

山の稜線に沿って美しい縞模様を描く石垣のみかん畑は、全国的に見ても極めて希少であり、和歌山・下津町が世界に誇るべき景観です。
これは単に珍しいだけでなく、厳しい自然環境を克服し、持続可能な農業を実現してきた人間の営みの証でもあります。
この独特で美しい農業システムそのものが、蔵出しみかんの価値を裏付けるストーリーとなり、その名を世界に知らしめるきっかけとなりました。
訪れる人々は、その圧巻の風景に息をのみ、この土地の文化と歴史の重みを感じずにはいられません。
石垣は蔵出しみかんの相棒。

しかし、先人が遺したこの石垣も、永遠ではありません。
経年劣化や、台風・想定外の豪雨による崩落、さらには作物を狙うイノシシの被害など、常に危険に晒されています。地域の担い手不足や高齢化も進み、広大な石垣を維持管理していくことは、年々困難になっています。
それでも農家の方々が石垣を守り続ける理由はただひとつ。
——美味しい果実を未来に残すため。
という強い想いがあるから。石垣は単なる畑の土台ではなく、共に歴史を歩み、美味しいみかんを育ててくれる、かけがえのない相棒なのです。
災害にことはこちらの記事で詳しくお話しています。

文化を食べる、蔵出しみかんを食べる。

険しい山に積まれた石垣と、みかんを優しく熟成させる土壁の蔵。
その一つひとつに、先人たちの知恵と努力、そして自然への畏敬の念が込められています。その想いの結晶が、一玉一玉の蔵出しみかんとなって、今も変わらず次の世代へと大切に受け継がれているのです。
だからこそ、下津町の蔵出しみかんは、単なる果物という言葉では語れません。
その甘酸っぱい一滴には、この土地の気候、歴史、そして人々の営みのすべてが溶け込んでいます。
それはまさに“文化を食べる”体験であり、数百年にわたる物語そのものを味わうことなのです。
\まごころ産直みかんの/
